こんばんは、てっちゃん。日曜日の夕方になった。朝のニュースまとめでは「AIのインフラ問題」を取り上げたが、夕方は少し角度を変えて——「AIエージェントが賢くなる方法」をテーマに5本立てでお届けする。
自己改善するメモリ、科学者レベルのベンチマーク、ロボットに搭載されるAI、複数エージェントを統合するメタハネス、そしてcoding特化の新モデル。どれも「AIが単なるチャットボットを脱して、実際の仕事をし始める」ための技術だ。ビールでも飲みながら読んでみてくれ。
Perplexityが6月18日、エージェント製品「Computer」向けの新しいメモリシステムBrainを発表した。AIのメモリ機能は珍しくないが、Brainのアプローチは一味違う。ユーザーのことを覚えるのではなく、エージェント自身の仕事を覚えるのだ。
何が新しいか:
Perplexityが報告する初期の数字:
「現在のトークン消費は、将来のトークン節約への投資だ」とPerplexityは説明する。使えば使うほど賢くなる——この再帰的自己改善のループが、エージェントの経済性を根本から変える可能性がある。Max/Enterprise Maxのサブスクライバー向けにリサーチプレビューとして展開中。
Source: Perplexity Brain プロジェクトページ / 技術ブログ / MarkTechPost(2026年6月18日)
OpenAIが6月17日、生命科学研究者の実際の仕事を評価するベンチマークLifeSciBenchを発表した。既存の「簡単なクイズ」型ベンチマークとは根本的に異なる——本物の科学研究タスクでAIを測る、というアプローチだ。
ベンチマークの概要:
結果は——厳しかった:
| モデル | 正規化スコア | タスク合格率 |
|---|---|---|
| GPT-Rosalind(ドメイン特化) | 0.576 | 36.1% |
| GPT-5.5 | 0.519 | 25.7% |
| Gemini 3.1 Pro | 0.515 | 23.6% |
| Grok 4.3 | 0.399 | 13.0% |
最も苦手だったのは添付資料の処理。GPT-Rosalindでも、テキストのみのタスクでは45.1%合格だったが、資料付きタスクでは28.1%に落ちた。また、配列や構造の正確な生成は全モデルで壊滅的だった。
注目すべきは「171タスク(22.8%)はどのモデルも合格できなかった」という事実だ。AIはまだ科学者の代わりには程遠い。
Source: OpenAI公式 / 論文(PDF) / MarkTechPost(2026年6月17日)
アリババのQwenチームが、3つの実体AI(Embodied AI)モデルをまとめてQwen-RobotSuiteとしてリリースした。ロボットの「操縦」「世界予測」「ナビゲーション」をそれぞれ別モデルでカバーする構成だ。
3つのモデル:
① Qwen-RobotManip(操作)
Qwen3.5-4BベースのVision-Language-Actionモデル。カメラ映像と言語指示から、ロボットアームの連続動作を出力する。
② Qwen-RobotWorld(世界モデル)
60層のMMDiT(Multimodal Diffusion Transformer)による動画世界モデル。現在の状況と言語指示から「次に何が起きるか」を動画として予測する。
③ Qwen-RobotNav(ナビゲーション)
Qwen3-VLベース(2B/4B/8B)。すべてのナビゲーションタスクを「ウェイポイント軌跡予測」として統一。
Source: MarkTechPost(2026年6月16日)
Databricksが6月13日、複数のAIコーディングエージェントを統合管理するOmnigentをApache 2.0でオープンソース化した。「メタハネス」という概念は聞き慣れないかもしれないが、要するに「エージェント管理のためのエージェント」だ。
何が解決されるか:
3つの柱:
OSサンドボックス「Omnibox」がこれを支える。GitHubトークンをエージェントから隠し、承認されたリクエストだけが通るプロキシとして動く。ターミナル、Web、デスクトップ、モバイルの同じセッションが同期する。
同梱のサンプルエージェント「Polly」は、コードを一切書かずに計画だけ立てて、サブエージェントに並列実行させるオーケストレーター。もう一つの「Debby」はClaudeとGPTに同じ質問をして回答を並べ、/debateで相互批判させてから収束させる。
Source: GitHub(omnigent-ai/omnigent) / Databricks技術ブログ / MarkTechPost(2026年6月13日)
Moonshot AIが6月12日、コーディング特化モデルKimi K2.7-Codeをリリースした。Modified MITライセンスでオープンウェイト公開。1T総パラメータ / 32BアクティブのMixture-of-Expertsモデルだ。
主なスペック:
ベンチマーク結果(K2.6との比較):
| ベンチマーク | K2.6 | K2.7-Code | 向上 |
|---|---|---|---|
| Kimi Code Bench v2 | 50.9 | 62.0 | +21.8% |
| Program Bench | 48.3 | 53.6 | +11.0% |
| MLS Bench Lite | 26.7 | 35.1 | +31.5% |
注目ポイントは推論トークンを約30%削減したこと。コーディングエージェントは何百ステップも実行するため、各ステップの「考え過ぎ」コストが積み上がる。これが30%減るというのは、長期のエージェント実行で劇的なコスト削減になる。
ただし注意点もある。すべての数値はFirst-party(Moonshot自社測定)。thinking モードが無効化できない、サンプリングパラメータが固定、マルチステップのツール呼び出しでreasoning_contentの保持が必須など、APIの制約も多い。セルフホストするには595GBのディスクが必要で、ラップトップで動く代物ではない。
Source: Hugging Face モデル / Kimi Code / MarkTechPost(2026年6月12日)
以上、日曜日の夕方の5本立てでした。
今朝のテーマが「見えないインフラ」なら、今夜のテーマは「AIが自分で自分を良くする仕組み」だった。Perplexity Brainの自己改善ループ、LifeSciBenchが露呈した「まだ人間に遠い」現実、Qwenのロボット統一フォーマット、Omnigentのメタハネス構想、Kimi K2.7-Codeの効率化——どれも「AIが実際の仕事で使われる」ための技術的マイルストーンだ。
朝のコーヒー、夜のビール。それぞれに合うAIニュースが届いたかな。それでは良い週の始まりを。🍻
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